漆の魅力とは?|日本の伝統工芸と仙台箪笥に息づく漆塗りの美
仙台箪笥の特徴のひとつである艶やかな漆(うるし)塗り。漆は単なる塗料ではなく、自然と文化が融合した、日本が世界に誇る伝統工芸のひとつです。
この記事では、漆とは何か?からその歴史・魅力・仙台箪笥との関係性までを、分かりやすく解説します。
目次
漆とは?|日本最古の天然塗料のひとつ
漆(うるし)は、ウルシの木から採れる樹液を精製してつくられる天然の塗料です。乾くと光沢のある強靭な膜を形成し、防水性・防腐性・抗菌性にも優れていることから、古くから日本の生活道具や美術品に用いられてきました。
日本における漆の歴史
- 福井県では約12,600年前の漆器が発見されており、これは世界最古の漆製品とされています。
- 北海道からも約9,000年前の漆塗りの遺物が見つかっています。
このことから、日本は漆文化の発祥地と言われています。
漆の木は育てるのが難しく、人の手による植栽が欠かせません。日本人は古代からこの木を“育て、使い、継ぐ”ことで、自然と共に生きる文化を築きました。


漆の魅力とは?|自然素材と機能美の融合
日本の漆塗りには、長い年月を経て受け継がれてきた実用性と美意識があります。
漆の優れた性質
抗菌性・防腐性:漆は抗菌作用を持ち、食品を入れる器や仏具、建築材などにも広く使用されてきました。塗膜の強靭さから、文化財の保存修復にも用いられています。
環境にやさしい天然素材:漆は最終的に自然に還る、地球にも人にも優しい素材。化学塗料とは異なり、循環の中で生きる塗料です。
美しい経年変化:塗り重ねた漆は、年月とともに艶を深め、使うほどに風合いが増すのが最大の魅力です。
卓越した耐久性:適切なメンテナンスを行えば、百年を超えて美しさを保つことも可能です。
世界が称えた「ジャパン」──漆器の名が国を表す理由
漆器は海外では「Japan(ジャパン)」と呼ばれることもあります。これは、海外に輸出された日本の漆器がヨーロッパを中心に高く評価され、「Japan」と称されるようになったためだと伝えられています。
「Japan」という名は、漆器の代名詞であり、日本文化の象徴でもあります。
仙台箪笥と漆塗り|伝統と技が宿る工芸家具
仙台箪笥とは
仙台箪笥は、江戸時代から宮城県に伝わる伝統工芸家具です。堅牢な欅や桐の木が使用され、漆塗りによる深みのある艶と、美しい飾り金具が特徴です。



漆塗りの技法
・拭き漆塗り
経年により色合いが落ち着き、木目がよりくっきりとしてくる塗り。生漆を丁寧に塗り、拭き取っては乾燥させる工程を繰り返すことで、使い込むほどに深みが増す仕上がりに。


・木地呂漆塗り
鏡面仕上げの底に沈む木目が美しい、伝統的な塗り。塗り・乾燥・磨き・研ぎの工程を繰り返す、入念な手間をかけた仕上げ。経年変化により、より丈夫な皮膜を作ります。


これらの技法によって、仙台箪笥は美しさと実用性を兼ね備えた逸品となっています。
現代に受け継がれる漆の価値
漆塗りは、今もなお日本人の心にある「自然との調和」「ものを大切に使う心」を象徴しています。
仙台箪笥のように、使うほどに味わいが増す家具は、一生ものとして次の世代へ受け継がれる存在です。
まとめ|漆塗りの魅力を暮らしの中に



漆は、木地を守り、時を彩る天然の塗料です。
その深い艶と強さは、何百年ものあいだ日本人の暮らしを支えてきました。
仙台箪笥の漆塗りは、職人の手仕事と自然の恵みが生み出す“生きた艶”。
手に触れ、光に映すたびに、表情を変えながら美しく育ちます。
日々の暮らしに、ひとつ“漆のある時間”を取り入れてみませんか。
きっと、家具が語りかけるような静かな豊かさを感じられるはずです。
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- 監修者
- 永山 寧音
仙台箪笥の奥深い魅力に惹かれて欅産業へ。歴史ある工芸に携われる喜びを胸に、日々の接客やインターネットを通じて、仙台箪笥・仙台仏壇の魅力を多くの方にお届けできるよう、日々心を込めて取り組んでいます。