仙台箪笥の塗りの違いとは?拭き漆塗りと木地呂漆塗りを解説
仙台箪笥を選ぶとき、多くのお客様が迷われるのが「塗り」の違いです。
なかでも代表的なのが、欅の杢目を自然に引き立てる「拭き漆塗り」と、深い艶と重厚感をまとった「木地呂漆塗り」です。
どちらも仙台箪笥の美しさを支える大切な漆仕上げですが、見た目の印象や艶の出方、価格、そして耐久性の考え方に違いがあります。
この記事では、拭き漆塗りと木地呂漆塗りの違いを、購入前に知っておきたいポイントに絞ってご紹介します。
目次
仙台箪笥における漆塗りとは


仙台箪笥の魅力は、欅の美しい杢目、重厚な金具、そして漆塗りの艶にあります。
漆は、単なる塗料ではありません。
木地を守りながら、年月とともに色艶を深めていく、日本の伝統的な天然素材です。
漆は、乾燥して水分が抜けるだけで固まるのではなく、空気中の水分や酸素の働きによって硬化していきます。
しっかりと硬化した漆の塗膜は丈夫で、木を保護する役割も果たします。
ただし、漆塗りはどんな環境でも変化しないというものではありません。
直射日光や極端な乾燥、水気の放置などは避け、日々やさしく扱うことで、美しさを長く保つことができます。
拭き漆塗りとは


拭き漆塗りは、欅の杢目を自然に活かす仕上げです。
生漆を金ヘラやいたやもみじのヘラで丁寧に塗り、拭き取って室(ムロ)に入れ乾かします。(漆は湿気が多くなければ乾かない特性を持つため専用乾燥室が必要)
この工程を何度も繰り返すことで、木そのものの表情を引き立てていきます。
仕上がりは、派手すぎず、落ち着いた印象です。
欅の杢目がやわらかく浮かび上がり、木のぬくもりを感じやすいのが特徴です。
拭き漆塗りは、漆の艶を楽しみながらも、木の質感を身近に感じられる塗りです。
リビングや寝室、玄関など、現代の住まいにもなじみやすく、初めて仙台箪笥を迎える方にも選ばれやすい仕上げです。
使い込むほどに少しずつ艶が増し、色味に深みが出ていくのも魅力です。
日々の暮らしの中で、時間とともに育っていくような味わいがあります。
木地呂漆塗りとは


木地呂漆塗りは、仙台箪笥の伝統的な塗り方です。
塗装表面が厚く、塗り、乾燥、磨き、研ぎの工程を重ねながら仕上げます。
表面には深い艶が生まれ、鏡面の奥に欅の杢目が沈み込むように見えるのが特徴です。
時が経つにつれて、丈夫な皮膜を作っていく塗りです。
木地呂漆塗りの魅力は、重厚感と高級感です。
光を受けたときの艶やかさ、奥行きのある色合いは、空間の中で強い存在感を放ちます。
和室や床の間はもちろん、広めのリビングや玄関ホールなど、家具そのものを空間の主役として見せたい場合にもよく合います。
また、漆をふんだんに使い、手間をかけて仕上げるため、拭き漆塗りより価格が高くなる傾向があります。
見た目の華やかさだけでなく、製作工程の多さも価格差の理由のひとつです。
木目と漆の色合いは一棹ごとに異なります
仙台箪笥に使われる欅の杢目は、自然が生み出すものです。
そのため、同じ形の箪笥であっても、杢目の流れや表情は一棹ごとに異なります。
また、漆の色合いも完全に均一ではありません。
木肌の色、杢目の密度、漆のしみ込み方によって、仕上がりの色味に若干の違いが生まれます。
同じ塗りでも、木肌の個性によって明るく見えたり、落ち着いた印象に見えたりすることがあります。
これは品質のばらつきではなく、天然木と漆を使う仙台箪笥ならではの個性です。
一棹ごとに異なる表情を楽しめることも、工芸家具としての大きな魅力です。
耐久性に違いはある?
拭き漆塗りと木地呂漆塗りは、どちらも漆を使った仕上げのため、日常使いに適した耐久性があります。
拭き漆塗りは、漆を塗って拭き取る工程を重ね、欅の木目を引き立てる仕上げです。
木の質感を感じやすく、使い込むほどに味わいが増していきます。
一方で、木地呂漆塗りに比べると、鏡面のような厚い塗膜で覆う仕上げではないため、自然な木の表情を楽しむ塗りといえます。
木地呂漆塗りは、漆を多く使い、塗り・磨き・研ぎを重ねることで、厚みのある塗装面を作ります。
時が経つにつれて、丈夫な皮膜を作っていく塗りです。
そのため、表面の保護力や重厚感という意味では、木地呂漆塗りの方がよりしっかりとした印象になります。
漆塗りを長く美しく保つために
拭き漆塗りも木地呂漆塗りも、長く美しく使うためには置き場所とお手入れが大切です。
特に避けたいのは、直射日光が強く当たる場所です。
漆は丈夫な素材ですが、紫外線は漆塗りの塗膜によくないとされています。
また、極端な乾燥や湿気も避けたいポイントです。
冷暖房の風が直接当たる場所や、湿気がこもりやすい場所は、できるだけ避けると安心です。
普段のお手入れは、やわらかい布でほこりを軽く払う程度で十分です。
強くこすったり、市販のワックスやクリーナーを使ったりする必要はありません。
水気がついた場合は、乾いたやわらかい布でやさしく拭き取ってください。
日々の小さなお手入れが、漆の艶を長く保つことにつながります。
価格に違いが出る理由
拭き漆塗りと木地呂漆塗りでは、価格にも違いがあります。
木地呂漆塗りは、漆を多く使い、磨きや研ぎの工程も加わるため、より手間のかかる仕上げです。
そのため、同じ形の仙台箪笥でも、木地呂漆塗りの方が高価になる場合があります。
一方で、拭き漆塗りも決して簡易的な塗りではありません。
漆を塗っては拭き、乾かす工程を繰り返し、時間をかけて欅の杢目を引き出します。
価格だけで比べるのではなく、置く場所、使い方、求める雰囲気で選ぶことが大切です。
実物で見ると違いがよくわかります
拭き漆塗りと木地呂漆塗りの違いは、写真でもある程度伝わります。
しかし、漆の艶や奥行き、欅の杢目の見え方は、実物を見ることでよりはっきりと感じられます。
光の当たり方によって変わる艶。
手で触れたときの質感。
部屋に置いたときの存在感。
これらは、画面上だけでは伝わりきらない部分です。
欅産業のショールームでは、拭き漆塗りや木地呂漆塗りの仙台箪笥をご覧いただけます。
塗りの違いで迷われている方は、ぜひ実物を見比べながら、ご自宅の雰囲気に合う一棹をお選びください。
まとめ


仙台箪笥の「拭き漆塗り」と「木地呂漆塗り」は、どちらも欅の美しさを引き出す伝統的な漆仕上げです。
拭き漆塗りは、木目を自然に活かした落ち着きのある仕上げ。
木地呂漆塗りは、深い艶と厚みのある塗膜を楽しめる格式ある仕上げです。
耐久性の面では、木地呂漆塗りの方が塗膜に厚みがあり、より保護力を感じやすい仕上げです。
一方で、拭き漆塗りには、木の質感が暮らしになじみ、年月とともに味わいを増していく魅力があります。
迷ったときは、価格だけでなく、置く場所、使い方、空間に求める雰囲気で考えてみてください。
漆の違いを知ることは、仙台箪笥をより深く楽しむ第一歩です。
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・【ふるさと納税で仙台箪笥を迎える】利府町の返礼品に、欅産業の伝統工芸品↗
- 監修者
- 永山 寧音

仙台箪笥の奥深い魅力に惹かれて欅産業へ。歴史ある工芸に携われる喜びを胸に、日々の接客やインターネットを通じて、仙台箪笥・仙台仏壇の魅力を多くの方にお届けできるよう、日々心を込めて取り組んでいます。